作家テディベアとは

作家テディベアとは、名前のある作り手による、一点だけの作品です。 量産のぬいぐるみとの違いは、絵画とポスターの違いに近いといえます。

OOAK とは

OOAK は one of a kind(唯一無二)の略です。コレクション玩具の世界では、 その作品がちょうど一体だけ存在することを示します。シリーズでも、限定版でも、 「100体中の20番」でもありません。同じ作家であっても、二体目は生まれません。

作家ベアの作り手とは

登場人物を考え、自分の型紙を起こし、生地を選び、縫って綿を詰め、顔を作り、 衣装を仕立てます。既製パーツの組み立てではありません。型紙はその人だけのもので、 経験のあるコレクターは筆跡のように作風を見分けます。

ぬいぐるみとの違い

  • 生産数。量産品は同じものが何千個。作家ベアは一体。
  • 顔。工場では型で押されます。作家ベアは手で作られ、 一ミリの差が「物思わしげ」か「いたずらっぽい」かを決めます。
  • 衣装。量産の服はラインで縫われ、装飾は印刷か既製のワッペン。 作家ベアの刺繍は針で、一つずつ入ります。
  • 時間が経ったとき。量産品は価値が下がります。 知られた作家の作品は通常そうなりません。

素材について

モヘア、ビスコース、アルパカ、ヴィンテージのプラッシュ、綿など、素材はさまざまです。 統一された基準はなく、それぞれの作り手が求める質感の出る素材を使います。 ですから「ぬいぐるみ生地」という言葉に頼らず、作品ごとの素材表示をご覧ください。

おもちゃか、コレクションか

その両方です。買われるのは大人の方で、ご自身のため、コレクションのため、 贈り物のために選ばれます。ただし博物館の展示品ではありません。 よく作られたベアは抱擁も旅も平気です。気をつけたいのは刺繍と衣装の細部だけです。

本物の作家ベアを見分ける四つの目安

「ハンドメイド」と称して量産品が売られていることも少なくありません。 次の四点を確かめれば、たいていの場合は判断できます。

  • 作り手の名前を尋ねる。作家ベアには必ず名前があります。 店名やブランド名しか出てこないなら、それは工場の製品です。
  • 刺繍の裏を見る。手刺繍の裏面は不揃いで、糸の始末が見え、 引き加減にもばらつきがあります。プリントや既製のワッペンは表裏どちらも均一です。
  • 同じ作品の写真がもう一枚ないか探す。同一の個体が存在すれば、 それは一点物ではなく限定版です。
  • 顔を見る。工場の顔は型で押され、左右が揃っています。 手で作られた鼻先は決して完全には揃わず、その揺らぎにこそ性格が宿ります。

大きさと、その用途

作家ベアはおおよそ 8cm から 60cm まで。大きさは値段だけでなく、 その子の役どころを決めます。

  • 8〜15cm。ポケットサイズ。鞄に入れて出かけられ、机の上にも置けます。 最初の一体に選ばれることが多いサイズです。
  • 20〜30cm。もっとも一般的。抱えられる大きさで、棚にも納まります。 凝った衣装や連れの小さな友だちは、たいていこの寸法で作られます。
  • 40〜60cm。主役になる一体。大きいほど均整の乱れが目立つため、 制作にもっとも時間がかかります。

値段を決めているもの

同じ背丈でも値段が数倍違うことがあります。理由は素材ではなく、ほぼ時間です。 顔を作る時間は胴体ぜんぶと同じくらい。手刺繍で覆われた衣装は、 それを着るベア本体より長くかかります。小さな情景も、文字も、動物も、 一針ずつ入っていき、しかもどれ一つ同じにはなりません。手の針は二度同じ場所に落ちないからです。

もう一つは作り手です。すでにコレクションに入っている作家の作品は値を保ちますし、 のちに知られるようになった作家の初期作は、何年もあとに探されるものになります。 早いうちに求めるところから始まるコレクションが多いのは、そのためです。

作家ベアの成り立ち

テディベアが生まれて百年あまり。そのほとんどの期間、テディベアは工場の製品でした。 作家ベアが現れたのはずっとあと、1970年代のアメリカとイギリスで、 作り手が会社名ではなく自分の名前で作品を出しはじめたときです。 おもちゃは「作者のある形式」になり、独自の言葉と、 作家を追いかけるコレクターの層をもつようになりました。 絵本作家や陶芸家を追いかけるのと、同じ関係です。

迎えたあとの暮らし

ガラスケースは要りません。気をつける点は多くありません。 直射日光は染めた布をいちばん早く褪せさせます。 そして日本の住まいでとくに大事なのが湿気です。木毛の詰め物は湿りを吸うため、 梅雨どきは風の通る場所に置き、押し入れにしまい込まないでください。 埃はやわらかい筆で払い、水は使いません。 繊細なのは刺繍と衣装の留め具で、ベア本体は抱かれるために作られています。 手で作る理由は、まさにそこにあります。

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